北陸新幹線延伸から2年、金沢の定宿選びに異変?「市場まで徒歩1分」の機能美とサウナが刺さる大人のリアル旅
ザ スクエア ホテル 金沢は、単なる観光の拠点という枠をとうに超えている。早朝の近江町市場で仕入れたての鮮魚を眺め、そのまま湯気立つ大浴場の露天風呂へ潜り込む――そんな旅の贅沢を日常の延長線上でさらりと叶えてしまう場所が、ここ金沢の武蔵が辻にある。2024年の能登半島地震からの力強い復興、そして福井・敦賀へと延伸を果たした北陸新幹線がもたらした空前の人の波が成熟期を迎えた2026年の今、旅慣れた大人たちがこぞってこのホテルを指名買いする理由は何なのか。現地を取材すると、金沢という街の素顔に触れるための明快な仕掛けが見えてきた。
いわゆる絢爛豪華な伝統旅館とも、画一的なビジネスホテルとも違う。街の喧騒と宿泊者のプライベートを緩やかにつなぐザ スクエア ホテル 金沢のロビーに足を踏み入れると、まず漂ってくるのは淹れたての香ばしい珈琲の香りだ。吹き抜けのカフェスペースでは地元客が新聞を広げ、奥のデスクでは旅先でリモートワークに励むワーカーが静かにキーボードを叩く。観光地としての記号化された金沢ではなく、今を生きる街のコミュニティにそのまま滑り込むような居心地の良さがそこにはある。
近江町市場まで徒歩1分、朝の「買い食い散歩」が日常になる立地力
旅行者が宿を選ぶ際、立地を重視するのは当然だ。だが、このホテルの立地は単に「駅から近い」という数字上の利便性とは一線を画す。金沢市民の台所として300年以上の歴史を誇る近江町市場が、文字通り目と鼻の先にあるのだ。
朝7時半、まだ観光バスが到着する前の静かな市場へふらりと繰り出す。路地に並ぶ威勢のいい声を聞きながら、旬の寒ブリや甘エビをその場でつまみ、炊きたての白飯を出す定食屋の暖簾をくぐる。満腹になったら、歩いて数十秒で自分の部屋に戻ってひと休みできる。この圧倒的な近さが生み出す「心理的余白」こそ、旅における最大のラグジュアリーではないだろうか。
兼六園や金沢21世紀美術館、ひがし茶屋街といった主要スポットへも、路線バスやシェアサイクルを使えば十数分圏内。歩く旅の拠点として、これほど無駄のないポジションはそう見当たらない。
旅の疲労をほどく本格サウナと露天風呂――なぜ今、大浴場目当ての滞在が増えているのか
近年のブティックホテルにおいて、大浴場とサウナの有無は宿選びの決定打になりつつある。とりわけ2026年の現在、旅先での「コンディショニング」や「深い休息」を求める旅行者は急増した。その点、最上階に配されたスパエリアは圧巻の充実度を誇る。
男湯・女湯ともに設えられた露天風呂は、石造りの落ち着いたトーンで統一され、外気を心地よく肌に感じられる設計だ。サウナ室の扉を開ければ、適度な湿度を保った本格的な熱気が出迎えてくれる。しっかり発汗した後に待つ水風呂の冷たさ、そして露天スペースでの外気浴。加賀の澄んだ空気を吸い込みながら整うひとときは、1日歩き回った足の重さをすっきりと洗い流してくれる。
部屋のユニットバスで済ませるのとは決定的に違う「解放感」。これがあるからこそ、翌朝の目覚めが驚くほど軽やかになる。
伝統工芸をひけらかさない美意識、加賀格子が彩るミニマルな客室空間
客室のドアを開けると、過度な装飾を排した潔いデザインに目を奪われる。金沢の伝統的な建築意匠である「加賀格子」を現代風に再解釈したパーテーションや、温かみのある木目調のインテリアが、すっきりとしたモダンなトーンと絶妙に調和している。
広さだけに頼らない空間構成が秀逸だ。スーツケースを広げても動線を邪魔しないレイアウト、機能的にまとめられたライティングデスク、そして肌触りの良い寝具。どれもが「旅慣れた人がストレスを感じない基準」で計算し尽くされている。
伝統工芸品をこれ見よがしに飾るのではなく、ディテールにそっと気配りを潜ませる。この控えめな洗練こそが、現代の金沢らしさを物語っている。
街の交差点「BANKERS STREET CAFE」で味わう、金沢ローカルの朝と夜
1階のエントランス横に広がる「BANKERS STREET CAFE(バンカーズストリートカフェ)」は、宿泊客と地元の人々が自然に交差するパブリックスペースだ。通りに面した大きなガラス窓から柔らかな光が差し込み、街を行き交う人々を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができる。
朝食には、地元・北陸の新鮮な野菜や旬の食材を取り入れたプレートが並ぶ。決して気取った料理ではなく、素材の味がストレートに伝わる温かい味わい。近江町市場で海鮮をがっつり食べるのもいいが、ここで丁寧にドリップされた珈琲とともにスタートする朝も捨てがたい。
夜になれば照明が少し落ち、クラフトビールやローカルジンを片手に語らえるバータイムへと表情を変える。スタッフと交わす何気ない会話から、「明日のお昼はあそこの小料理屋が美味しいですよ」といった生きたローカル情報が手に入るのも、このカフェの隠れた魅力だ。
2026年のスマート旅:ワーケーションとサステナビリティが両立する新しい滞在価値
金沢へのアクセスがよりシームレスになった現在、東京や大阪から「平日2日リモートワーク+週末観光」というスタイルで訪れる滞在者が目に見えて増えた。その需要を確実に捉えているのが、高速Wi-Fiと電源環境が整った開放的なワークスペースの存在だ。
午前中に集中して仕事を片付け、昼休みに市場へふらりと出かけて海鮮丼を食べる。午後のミーティングを終えたらサウナでリフレッシュし、夜は片町の隠れ家バーへ。仕事と観光が分断されることなく、滑らかに溶け合っていく。
さらに、プラスチックフリーを意識したアメニティの提供や、地域経済に直結する仕入れルートの開拓など、環境や地域社会への配慮も抜かりない。旅を愛する人間として、自分が泊まる場所が地域に対して誠実であるかどうか――そうした倫理的な視点を持つ現代のトラベラーにとって、このホテルの姿勢は極めて心地よく映る。
ただ泊まるのではなく「街に溶け込む」――賢い大人が選ぶ金沢ステイの結論
金沢の街は、歩けば歩くほど奥深い。何百年も受け継がれてきた茶の湯や工芸の精神が、新しい現代アートや食文化とせめぎ合いながら、独自の美意識をアップデートし続けているからだ。
そうした街の息遣いを肌で感じるためには、外界から遮断された閉鎖的なホテルに籠もるのではなく、街の空気を取り込める場所に身を置くのが一番の近道だ。朝の市場の活気、夕暮れの露天風呂、夜のカフェで交わされる笑い声。そのすべてが手の届く場所にある。
次回の北陸旅、もしあなたが「観光客」としてではなく、少しだけ「街の住人」のような気分で金沢を味わい尽くしたいと願うなら、選ぶべき拠点はすでに決まっているはずだ。 (出典: ザ スクエア ホテル 金沢(Yahoo!ニュース))